高電圧発生器の実験(2)
● 高圧危険! 実験される方はご自身の責任において実験してください。感電事故・電波障害等について、当方は一切責任を負いません。
あまり パソコンなどの電気機器の近くでやらないでください。
(1) フライバックトランス式高圧電源のパワーアップ: 高圧危険!
前回のフライバックトランスによる高圧電源の、1次コイルを φ1mmホルマル線・10T、高周波回路部のパスコンの容量を10μF(MF)とし、2SK3628(20A、230V、100W)の放熱器を大きくして(45×125×27mm)放熱用シリコングリスを塗って接合し、電源容量を12V5Aのアダプターに換えた。(* トランスの極性が出るので、放電が物足りない場合1次コイルの端子を入れ替える) 放電電極にはφ0.8の銀線を用いた。
放電はアーク状で(紙などを挟むと燃える)、最大15mmほどになった。これ以上離すと小さいスパークあるいはグロー放電になる。 また、継続運転でもFETの発熱は許容できる程度だった。
次に、高圧ダイオードED8H1(16kV80mA)×4個と P型抵抗5W10MΩを直列につなげ、整流器とした。この整流器の+端に、高圧セラコン(4kV0.01μF)×18個直列につなげたもの(約560pF)を接続し、2次電圧をかけると、かなり頻度の高い火花放電となる。放電長からギャップ間の電圧は30kVと推定される。
ダイオードの容量が80mAもあるので、抵抗を入れずに直接放電させることもできる。
(注意: コンデンサーには高圧電気がたまっているので、電源を切った後は、必ず、アースと
コンデンサーの高圧端をショートさせて、放電しておく事。アクリル管の先端にアース線を付けた”放電棒”を用意しておくと良い。 高圧部の配線は、すべて耐圧2kVのシリコン被覆線を用い、互いに接触しないように離して用いるよう注意する。)
(2) サイリスタ駆動イグニッションコイル方式: 高圧危険!
イグニッションコイルは、低周波仕様(鉄芯)なので、1kHz以下で効率の良いサイリスタ(SCR)を用いて駆動する。(トランジスターでも可能であるが、発熱を考慮する必要がある)
SCRはトリガ・パルスでONする。 しかし、SCRに流れる電流を止めるためには、その電流を一瞬でも0にする必要があるため、転流用のコンデンサーCt、抵抗Rt
を用い、Ct には充分大きいものを用いて充放電する。(イグニッションコイル(1次DC抵抗:3Ω)に対しては、Ct:
14.7μF250V、Rt: 220Ω40W。 8ΩならばCt =10μFで充分)
トリガ発振部には、2SH24(UJT)を用いた。
UJTの発振周波数は、20kΩ半固定VRを調整して240Hzで、出力は、HVout:
5.2kV(Open時)、30mA(短絡時)だった。(この時、SCRの平均電流は、Open時1.6A、短絡時2.2A)
この際注意する事は、SCRがわずかなトリガ電圧でONしっぱなし(暴走状態)になるので、100ΩVR、1kΩVRにより電圧レベルを調整して安定に動作する範囲に収める必要がある。
(* 現在UJTは製造中止なので、中古品使用(若松通商)。 N13T−1(PUT:Programable
UJT)を用いても可能であるが、耐圧が低いので電源電圧は12V程度(右図))
電圧が上がらないときは、1次コイルへの配線を入れ替える。
電源トランス(1A)の電圧は、AC表示で 17V、24V、29Vに切り換えるようにした。(29Vの時は入力電流は3A近くにもなる) 切り替えても出力電圧(測定値)はそれほど変化しないが、出力電力が変化する。
感電防止のため、電源スイッチは外部にコードスイッチを設けた。
(3) 昇圧整流ユニット: 高圧危険!
サイリスタ式高圧電源の入力を、6倍圧で昇圧整流するユニットを作成する。高圧セラコン(4kV.01μF)は5個直列に、ダイオードSHV−20(20kV2mA)は並列に束ね、アクリル板に直接組み付けた。(計測用に5W100MΩの抵抗を追加)
結果は、5kVACの入力に対し、3倍程度の15kVの電圧出力だった。(高圧プローブを用いた測定値) しかし、放電時の火花放電の長さはMax3cmにもなり、30kV以上になっていると思われる。